西洋占星術カンファレンス感想4

【鏡リュウジ先生 占星術の未来】

「我々はこうやって(仲間として)集まっているとわからなくなるけれども、一歩外の世界(社会)に出たら奇異なるもの、オカルトで怪しい存在として目を向けられることを忘れずに」という意味のコメントからスタートしたのは日本の占星術をリードし、また、世間一般の人たちが見た時に占星術がキワモノでないように、風通しの良い、知性的で面白く素晴らしいものであるという啓蒙活動をしてきた鏡先生だからこその重みのある言葉でした。

鏡先生は続けます、占星術は先人たちが真面目に取り組んできた研究であるが、他の分野の研究者から「まったくの無駄」だと言い捨てられたこともある分野でもあること、と。

それでも先人たちが占星術に真摯に取り組み、アカデミーを育ててきたことや、これから先、私たちが向かっていく未来は、2つの軸を必要とするのではないのか、とも仰っていました。

我々が日本で西洋占星術を学ぶ者たちがこれから先、未来を紡ぐには何が必要であるのか、井の中の蛙ではなく、仲間内だけでの満足に陥らず、極めて知性的に、俯瞰的に、優しくしかし厳しく問いかけてくれるような時間でした。背筋がピシッと伸びた気持ちです。

【人々の集合認知の力】

鏡リュウジ先生のユングの見た夢のお話で真っ先に思い出したのは、 『Re:CREATORS』(レクリエイターズ)というアニメ作品でした。

創作の中の存在(ファンタジー)が現実の世界に実現して巻き起こす物語。実現化したキャラクター達の存在するための力は人々の【認知】にあり、人々がその存在をどう意味付け位置づけるかによるのです。

 【人々の中の認知】により左右される存在という意味では、ユングの夢にあらわれた巨大な【神】共通していると想起したのです。

インドで感じた【人々の強い認知力から発生する宗教的エネルギー】というのを実感したこと(不思議体験と共に)も個人的にリンクするのですが、いわゆる“ファンタジー”と、私達との距離感や意味付け、原初的なスピリチュアリティ溢れる世界観と現代のそれらとは断絶した世界観とのバランスの取り方や、私がとりいれたいと考える「現実の中で不思議な事が起きるのを許すスペース」についても、どうありたいのか、考える時間になりました。

【在る】と【認知】されているところに力が宿るのだと、私個人は信じていますし、実感もしています。

どのように占星術のようなものの存在を【信じるか】【認知するか】も実は大きなテーマなのかもしれません。

【占星術の共時性やシンクロニシティ】

日本で初めてのカンファレンスが開かれたこの日のためにいけだ笑み先生がたてたホラリーの質問タイトルの間違え「STAR CAROUSEL(スターカルーセル)星のメリーゴーランド」というカンファレンスのサブタイトルが「STAR  CRABLE (スタークレイドル)星のゆりかご」となっていとことに、

今日この日を【見】た鏡先生の言葉が印象的でした。

「私たちのこの集まりは、回転木馬であり、ゆりかごである、

今はまだ未熟な、生まれたばかりの赤子のような存在の私たちである」

「だからこそ、これから育つ存在である」と。

この書き間違いこそが、今日のテーマであり、今の私たちの姿であると…

鳥肌が立つような瞬間でした。

文学が全ての人を幸せにしない様に、

スポーツが全ての人を幸せにしない様に、

占星術も同じく、全ての人にフィットするものでは無いでしょう。

それでも

もし、「何の役に立つの?」と聞かれたならば、

他者と自己を確認し、宇宙全体と自己との距離感を想像し、繋がりを愛し、物語を愛すること。

占星術を通してできるこの要素だけであっても心理学的な認知の修正を助ける道具となり、ヨガや瞑想的、心をシャンティ(平和)にする宗教的な視点としてあまりにも有用であると声を大にして言いたい。

ファンタジーであったとしても「無い」とも言い切れない存在の占星術がどうやって社会に所属し、社会とどう接触してくことが良いのか、占星術を愛するもの、学ぶものとしてどんな心構えで存在することが良いのか、歴史や先人たちの努力や研究を大切に自分の中の軸をきちんと強く、太くしていきたいと心から思いました。

[ 西洋占星術カンファレンス感想4 ]ブログ,占星術, , , 2019/10/16 12:06